「定常状態ーを越える」べく 「○」と何人かが音楽全般ほかよろず語り下ろし中!! / 「すべての表現するココロに捧ぐ」べくお送りしています つねに更新中!maru1978eonta@gmail.com!
by maru-eo 生きてく日々のメモ
文脈を参照して内容を割り引くことを「批判」と言います。
批判というと日本では攻撃と勘違いされがちですが、違います。 批判とは、隠されていた前提を明るみに出し、前提を取り替えると成り立たなくなることを証明して見せる営みのことを言うのです。 ●○●○●○●○●○● 宮台真司 07年12月22日 カテゴリ
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「きれいだ・・・・なんときれいな棋譜よ・・・・! 運命に導かれながら、今まで息づいて来た棋譜!!」(文庫版6巻、滝川幸次の言葉より) 90年代にビックコミックスピリッツに連載、数々の漫画賞も受賞した能條純一の将棋漫画『月下の棋士』(小学館ビックコミックス)。単行本32巻に及ぶこの大河ドラマは、主人公・氷室将介とライバルである名人・滝川幸次の宿命の対決に一点のぶれもなく突き進んでいく。 物語全体が、最終巻で描かれる氷室対滝川―両者が打つ一手一手によって思い出されていた壮大な回顧録にも解釈できるようだ。ストーリーの構造は極めてシンプル、伝統的な少年漫画のノリである。以下、大雑把に説明してしまうと、 1.主人公・氷室と、ライバル・滝川の登場。その中で行われる全プロ棋士参加のトーナメント。そして滝川との初めての対決。 2.着実にその他のライバルたちに勝利し、順位を上げ、名人・滝川に近づく氷室 3.最強棋士が集うA級リーグ戦と、滝川との大舞台でのリベンジ・マッチ この流れを単純に将棋の序盤、中盤、終盤とみてしまうことも可能だろう。 物語のスタート時点で、最も下位だった氷室と、名人位獲得時からの滝川。ボクシングでいえばプロテスト前の練習生と世界王者、相撲でいえば前相撲と横綱といった関係性だ。。少年漫画的には極めてありふれた構造なのだろうが、この設定を大長編の中で(扱うジャンルによるところも大きいが)両者の頂上決戦という形まで、読者を飽きさせず行く着かせることは、かなり困難を要すると思う(実際、中盤は若干ダレ気味の感もあるか)。 序盤はこれまた漫画チックな全プロ棋士参加の「王竜戦」トーナメントの開催という力技で、A級棋士の一部を登場させ、物語における力のヒエラルキーを緩和化。非公式での滝川との戦いで今後の展開に期待を持たせる。 もっとも盛り上げるのが難しい中盤で、女性(大和岬)、少年(佐伯宗光)、師匠(虎丸竹千代)といった分かり易い属性を与えられたライバルたち(「占いマニア」などのキワモノもいたが)によって、キャラクター漫画的な醍醐味を注入。その間にも氷室が戦った相手に何らかの関係のある実力者―岬の養父(大和天空)、佐伯の師匠(古葉健)などを滝川と戦わせる。無論、圧倒的な力で勝利していく名人・滝川。 終盤のA級リーグに至ってはキャラクターの宝庫と化している。外人、御曹司、常に2番目だった男・・・・そんな展開の中で、作者は氷室の一番最初のライバルであり、すでに夭折している天才棋士・村森聖を召還。兄弟子が、村森の編み出した打倒氷室の一手で、彼に勝利する。 事実上はじめての1敗。続く対局もショックをひきづっての敗北。このあたり、作者の「物語の形」へのこだわりが垣間見られる。このタイミングで、すでにこの世の人間ではない最初のライバルを登場させ、氷室に人生初の挫折を味あわせてる。 氷室将介は負けることで成長していくキャラクターではない。むしろ、負けないことを依り処にしていた。最強を売りにしている以上、最大のライバルである滝川以外との負けは、そのキャラクターのひとつの死であろう。しかも連敗である。だが、逆説的にこの負けから這い上がることによって真の強さを氷室は身につける。その後は、大和天空、刈田升三、佐伯といった初期から馴染みのライバルとの話に戦いながら決着をつけ、運命の滝川との名人戦に向かうわけだ。 およそ『月下の棋士』においては、登場人物たちのことを書き残した部分はないかと思わせるほどだ。時間軸でゆらめく物語に空間的な造形の美しさを見出したい、と願うのは多くの表現者の思うところだろう。だが、連載漫画という明日をも知れぬ、悪くいえば如何応にもこの造形が崩れることを前提にしたエンターテイメントにおいて、これだけシンプルで力強く、美しい形を有した作品を私は知らない。知っていたら、教えてください。 作中、氷室は対戦者に「駒は生きている」と、ことあるごとに説く。 過剰すぎる自我(=キャラクター)を与えれらた登場人物たちは、氷室対滝川の宿命の対局の一手一手―『月下の棋士』という名の美しき棋譜の駒であると同時にやはり、紛れもなく生きているのであろう。 投稿・内村亜希子
by maru-eo
| 2005-03-05 15:46
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