神サマを信じる人というのは、神を見たから信じたのではなくて、信じているから見たのだ、というようなことをドストエフスキーが書いている。信仰とか神とか僕らはずいぶん遠いところにいる。90年代に「神様を信じる強さを僕に」と歌ったのは小沢健二。彼はその神様を「広瀬香美さんの言っている神様と近い」と発言。これ笑い話ではない。僕ら日本人は世界で数少ない神様なしで生きている人々なのだ。ドストエフスキーはそんな僕らにもわかるように神と信仰を書きつづけた。いまのご時世それぞれの神を想像する練習をしておくのも必要なんじゃないでしょうか。それがたとえ妄想であってもなくても。「見た」という人とちゃんと語り合うために。