昭和41年5月「笑点」放送開始。司会:立川談志。円楽、歌丸、小痴楽、こん平、全遊(のちの小円遊)。
「
文楽師匠は“世の中わからんもんですな。あんな奴らがあんな芸で・・・”って笑ってらしたけどね。花緑さん、大事なのは“芸と人気は比例しない”ってことですよ」P55
「
テレビの世界の人気なんて、はかないもんなんだ。一生人気なんてあるワケない。登ればいつか落ちる。だけど、その落ち方がズドーンと、ではなくて、富士登山のように、なだらかに下りていくのがいい。そうすると、またつぎの人が山を登ってくる。そうでなくっちゃいけないと思うんだ」P56
上の発言に花緑さんは「比例しませんか」と思わず応えてしまう(文楽はもちろん八代目 桂文楽)。すでに術中にはまっている、というか、真の対談とはこういうものだろう。思いもしない言い切りを受け入れられないこともあるだろう。円楽師匠の凄みを感じる語りである。他の対談もなかなか人選、内容ともに面白い良い本です。
柳家花緑
『東西落語がたり』(旬報社・2003)より。ちなみに花緑さんは小さん師匠の孫。他の対談相手は、桂米朝、立川談志、小遊三、小朝と多彩に過激。