「定常状態ーを越える」べく 「○」と何人かが音楽全般ほかよろず語り下ろし中!! / 「すべての表現するココロに捧ぐ」べくお送りしています つねに更新中!maru1978eonta@gmail.com!
by maru-eo 生きてく日々のメモ
文脈を参照して内容を割り引くことを「批判」と言います。
批判というと日本では攻撃と勘違いされがちですが、違います。 批判とは、隠されていた前提を明るみに出し、前提を取り替えると成り立たなくなることを証明して見せる営みのことを言うのです。 ●○●○●○●○●○● 宮台真司 07年12月22日 カテゴリ
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NHKの『ドラマ 七子と七生・姉と弟になれる日』を終わりのほうだけ観た。瀬尾 まいこという小説家が坊ちゃん文学賞大賞をとった『卵の緒』のTVドラマ化。完成度の高い青春一歩手前物語。 映画的に言うと主演が蒼井優。助演で石川えり。蒼井優という女優さんの魅力をまたひとつ知ったような気がするわけである。この人は顔の作りや髪型はとても古風なニッポン人だ。細長い卵形の顔に真ん中分けの髪、細い目と存在感のある鼻。なんちゅーか“のっぺり”してるといってもよい。 すぃかしだ、演技者としての蒼井優はなかなかに奥行きがある。俳優というのはどうにもテクニカルな部分(いつでも泣けるとか)とそれとはまた別の部分が必要だと思うンだ。 ■俳優の2つのタイプ 最近はけっこうそうしたテクニックだけでOK、あとは存在感とか雰囲気がちょっとあればいい、みたいな。いわばブツとしての俳優たちが花盛りである。鈴木杏なんかはこっちかもしれないと思う。いるだけで良し、泣いたりされるとずーんと重いモノがなんだか知らねど、たとえ脚本やセリフがイマイチでも観る側に伝わる。立体ブツとしての人間の存在感と、そこになにがしかの感情が与えられることを観る側は味わう。観る側の感情を代行する天才型といってもいいだろう。舞台の上での演劇・芝居でも行けるタイプだ。まあそうにもなりきれないのが無数にいるわけだけど。そのグラデーションを味わうことが「演技」を観る楽しみとも言える。 他方で、あたかもただ観るというよりはこちらの側が、その演技者のなかに入っていって一緒に感情を共有する人たちがいるだろう。蒼井優はこっち。微細な表情の変化が同時に大量に起こる。ブツとしての存在感に対して、描き込まれた絵画を鑑賞するようなことを観る側に強いる。こういうタイプは映画向きだ。蒼井優は以前『トップランナー』で自分は映画が好きで、映画という場にいたいし、その価値を高めたいと言ってた。いつかどっかで、その映画という場所にいる自分の発するものを知ったのではないだろうか。 ■蒼井優とTVドラマ この作品で彼女は、感情を表に出すことができず、悲しいことがあっても泣けない高校生を演じている。母の死に出会って泣くことができずにベッドの上で枕に顔をのせているシーンではセリフもなくただ、そこにいる。表現されているのは「泣けない」ということである。エズラでいくとなんにもしてない。感情が押しとどめられた状態を演じる。これが良い。ふつうこうしたシーンはドラマや映画ではインタールード的に一時的な停止状態として撮られるだろう。だってなにも感情なしなんだから。そこでしかし蒼井優はきちんと演じおおせていたと思う。カメラはそのことをしっかり追っていた。作品のなかに重要な場面としてもたらしめ得ていた。 たいして、そんな彼女がはじめて泣く場面。「どこまでもまっすぐ行くんだ」といういかにも小説的な弟のセリフと行動によって手を引かれた彼女は走る。極まったところで、手が離れ、しゃがみ込む。いわば一般的作品的ドラマツルギーとしては最高に盛り上がるところである。ところがここで演出者は決定的なミスを起こしてしまっている。しゃがんだ彼女を引き目に後ろから撮り、彼女は顔に手をやっている。ここはアンタばっちり表情を追うべきトコロだよ。まあもっともそれを見ている弟との対比を示したかったとかなんだろうが、それにしてもほんの数カットでもいい、ヒトがはじめて泣く瞬間をおさえとくべきだったのではないか。 ■最近のマンガのこと 話がちょっと変わるけれども、こうした2タイプの演技者の違いは、マンガと絵画と違い方とも対比ができるとオレは思っている。フラットな画面で簡単な描線だけで対象物を存在させるマンガは、いわばそうであるからこそキャラ(クター)を立たせることになる。キャラクターの全体の存在感でドラマを引っ張るわけだ。俳優にもこういう扱われ方の人は多い。絵画における肖像画は基本的に描き込みで魅せる(浮世絵とかはポスターとして考えたほうがよいというのがオレの考え)。観る側はその重ねられた画面に見入って感じるわけだ。この辺は最近のニッポンのマンガではわりにこの2つが折衷された表現が出てきていて、複雑なところ。高橋ツトムや魚喃キリコなどの優れた作品は、コマ割りやキャラだけで見ていくとじつはなにも味わったことにならないのだが、いまも多くの評論家なんかがストーリー展開やらネームがどうとか語ってお茶を濁している。これを歴史を遡ってまんま劇画としてやってしまっているのが『恋の門』であるだろう。いまマンガは鳥獣戯画がどうとか、映画との違いがどうとかいうだけでは捉えきれない表現になりつつある。 そんな時代の演技者として蒼井優はじつにおもしろいナウな表現者だと思うワケ。自分でもそれをわかっているところがまたおもしろい。で、このなかなか腰が低く良くできたほうの作品を観ると、やっぱり蒼井優の魅力はTVドラマ規格ではないと思うのだ。しっかりと映画のフィルムに(もちろんテープでもいいけど)焼き付けといてもらいたい俳優だ。そうした芝居的な俳優の代表の鈴木杏と映画的な蒼井優をしっかりとその違いを示しつつ撮りおおせた岩井俊二の『花とアリス』はやっぱりたいした作品で、監督の岩井俊二もそうした若い俳優に負けることなく、自分の世界を一歩前に進めたワケだから。 ■すべての別れはしばしの・・・ そうそう。で、この『ドラマ 七子と七生』で、蒼井優が他の俳優陣やスタッフとともに観ているオレにもたらしてくれたのは、どんな別れもしばしのお別れなんじゃあないか、という思い。年の近い姉弟はいうにおよばず、早世したお母さんにだって、もっと長い目で見ればまた会えるワケだ。すべての別れはしばしの別れ。深い感情の充実の前では、静物としてのヒトが生きている時間なんて短い短い。最後に彼女が放った「また遊びに来いよ」は、観る人それぞれの言葉で言い換えられて長く残るんじゃないか。コレ映画にしてくれればいいのに。いかにもNHK的な本人たちが得して、観ている側に大損させてることに気がつかないの図 ? まあイマの民放のつまらん企画負けドラマの林立のなかでは輝くだろうな。観ている側の最高満足はどこでも於いてイカレル。とりあえず演技する蒼井優の今後に大注目だ、ってことで終わります。
by maru-eo
| 2005-08-11 21:59
| 「TV」をつけなさい
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