2001年2月4日
百貨店の一階というのは本当にいろんな人が来るもので、この場合の人というのは勿論お客様ともなるべき人々のはずだが、どういうわけだかそのうちの何人かというのは断固としてよくわからない人のままであり続けたいらしい。「お姉ちゃん、こんなトコいて寒くない?」こうして某化粧品メーカーの派遣社員に声をかけた中年男もその一人。ホントのところ彼は百貨店に何を求めてきたのか。入口をくぐり上へ上へと行ったところでそこに一体何があるのか。「可愛いなぁその服。」きっと何もありゃしないのだ。待ってもいないものを探しに出掛けたってムダなだけ、それをよくわかってらっしゃる。百貨店という夢の世界に現実的すぎる男が一人いたとして、そして目の前に美しく着飾った女性がいたとして彼の行動はけして間違ってはいない。だけれどその男が駆けつけた警備員に罵声を浴びせて帰っていくというのも実はこれが夢でなく現実の話だからこそ仕方がないのである。