「定常状態ーを越える」べく 「○」と何人かが音楽全般ほかよろず語り下ろし中!! / 「すべての表現するココロに捧ぐ」べくお送りしています つねに更新中!maru1978eonta@gmail.com!
by maru-eo 生きてく日々のメモ
文脈を参照して内容を割り引くことを「批判」と言います。
批判というと日本では攻撃と勘違いされがちですが、違います。 批判とは、隠されていた前提を明るみに出し、前提を取り替えると成り立たなくなることを証明して見せる営みのことを言うのです。 ●○●○●○●○●○● 宮台真司 07年12月22日 カテゴリ
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第二十五話 【朝のリクエスト大会】 百貨店の朝はリクエスト大会から始まる。店員によるリクエストの応募は随時行われていて、毎日朝礼の前に一曲が店内に放送される。そのリクエストへの応募常連者である婦人第二部の倉木さん(二十三)はとてもキレイな人なのだがちょっと変わっている。ある朝フト同僚に「あのスピーカーってウーハー?」と訊いてしまった経験を持っていて、その天井の送風口に関する発言は売り場内ではなかったことにされたが、倉木さんは今でもそれを疑わない。常連にもかかわらず彼女のリクエストが通らないのは選曲がレゲエだのヒップ・ホップだのといったおおよそ朝礼前には似つかわしくないものだからだろう。業を煮やしつつある倉木さんは今「池袋もガンガンいくぜ!」という百貨店と西口公園を結ぶイヴェントを企画中。しかし彼女の企画に決定的に欠けているものがまたしてもあのウーハーなのであって、どうやらライヴは彼女の頭の中だけで明日の朝にも決行されそうである。 第二十六話 【一階三番地エレベータ哀歌】 エレベータというのは一体いつ頃発明されたのだろうか。おそらく十九世紀パリにエッフェル塔が建てられた頃なのだろうが、この古のテクノロジーはここ百貨店ではあまりうまく機能していないようだ。一階三番地入口にはおそらくお客様をもっとも哀愁に包むべく稼働しているエレベータが四機ある。一番右は車椅子でも簡便に乗る事が出来るよう広く作られているのだが長く待たされて扉が開くとそこには当然のように二本の脚で立つ事が出きる人々が鮨詰め、考えられた機能を考えないで使うとき哀しみが滲み出てくる。確かにそんな事をいっておられぬ事態でもある。なぜこうも来ないのか。扉の開かないエレベータは単なるボタン付きの壁と化し、待つ人は用意された椅子に座り瞑想に入る。或いは四機を行ったり来たりの行動派もいるが、ムダに動くだけ哀愁は加速してゆく。全ては百貨店という古くて新しい快適な巨大な箱の、その中の小さな箱に纏わる話ゆえ平にご容赦。 第二十七話 【ノースリーヴ哀歌】 寒くはないのか?ブ厚いコートを着込んだ人々とノースリーヴの販売員がすれ違うたびに生じる疑問と釈然としない気持ち。三階五番地はスーツを着ていても少し寒いカウンターが一個。長く座っていると、目の前の喫茶店のカップルを見つめる目には少女がマッチ越しに幻の食卓を見るような哀しさが滲んでくる。取り残された気持ちと逆行するように着実な現実を更新するガラス越しの人々。斜め上から照らすスポットは古くさい悲劇のシーンの演出みたいぢゃないか。いくつものドラマを詰め込んだ喫茶店と所在ないカウンター、その間を行き来するノースリーヴの面影。確固とした現実とそれをただ眺めるだけの目、ノースリーヴは二つの異空の間に常に急ぎ足で哀しく線を引いてゆく。「寒くないですか?」満たされている側もそうでない側も彼女に問いかけてはならない。その声が境界を越え二つの異空を結びつけたとき、百貨店という一つの奇妙な物語は終わってしまうから。
by maru-eo
| 2005-08-15 20:46
| 『池袋デパート哀歌』
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