2001年1月6日
そこには幾つかの椅子とベンチのようなものがありちょっと翳っており休むには良い場所なのだろう。十時開店大きな荷物の警備員が欠伸しながら腰を下ろす。彼の昨日はいま終わったところだ。十一時、サラリーマンがネクタイを弛める。すぐ眠りにつき十二時、買い物疲れの主婦がワイドショーを一頻りぶつ間に起きた。食事どこでする?彼女らの後に高校生のカップル。学校はお昼までいまは長い放課後。三時を過ぎると頭を怪物で一杯にした小学生が言語化出来ないカードゲームに興じて、大学生の男は片思いの恋愛相談を携帯でしている。ホントはオレの方がとは言えずに切るのはいつも向こうからだ。六時を過ぎてもそこは時間の感覚が無く、二番地でタバコを吸ってきた警備員だった男はにわかに辺りを見回す。視線の先には目深帽子の警備員がいて、こちらは目下勤務中。定期的に押し寄せてくる時の感覚の中で現在位置を知った彼が哀しい歌を口笛で吹きながら去っていく時、店員達は閉店の八時が近い事を知る。