おう、オイラは見ての通りの門松だ。毎年使い回しのオイラは元旦ってやつのためにアッチ・コッチ旅を続ける渡り松だ。ココはドコ?池袋?前にも来たことがあるような、一介の松のオイラにゃ街の記憶ってモノがないんだよ。いちいち覚えていられない門松家業ってやつだ。しかし池袋って街はなんだね、なかなかに寂れたとこだな、みんなオイラに見向きもしないよ。いつも座っている仏像みたいなもので初めから中腰のオイラはちっちゃく見えるのかね。実はデカイんだぜ、立ち上がるとね。それにしたってココは寒いよ、萩原朔太郎の「竹」覚えてる?好きだなぁ"かたき地面に竹が生え、地上にするどく竹が生え、まっしぐらに竹が・・"根っ子のないオイラはさしづめ根無し竹、それにしたってさっきっからオイラの中で寝てるお前!タダじゃねぇんだぞ!起きろっつーに!"みよすべての罪はしるされたり、されどすべては我にあらざりき"か・・はぁ。皆さん良いお年を・・・。