祝X'mas編パート1
「へ~くしゅん!」某大手デパートの配達員、大木浩一(仮名)は練馬区江古田の路地でおっきな荷物を抱えながらくしゃみを連発した。くしゃみをしても大事な荷物だけはけして手放さない。「おー、あぶないあぶない。これを落としちゃあイケナイ×2」今日は十二月二十四日、世に言うクリスマス・イヴである。「おっと、急がなきゃあ」大木は腕時計をのぞき込んでちょっと焦る。「毎年毎年、まあ当たりの前の話だけど―」そう当たり前の話だが配達員さんは毎年この時期大忙しである。「へっくしょん!」大木の彼女は今ごろ部屋で首を長くして待っているだろう。これも毎年恒例の光景なのだ。T富士のポケティで拭った彼の鼻は毎年のことながらもう真っ赤だ。そう年に一度の盛大にお祝いできる日が今年も近づいてくる。大切な彼氏(女)が遠くにいる人も、身近にいるのに想いが届かない人も意味なくお祝いしよう。少しだけ真っ赤なお鼻の配達員さんにも感謝しながら、ね。