ビル・エヴァンス・トリオ 1959.12.28
ド級の才能を持った奴らがいまにも飛び立とうとしている大きな期待を抱かせるアルバム。ラファロもモチアンもそれぞれがコンボを背負っているくらいの奥行きがある。不世出の黄金トリオの船出盤。よって物足りないことも多い。本人たちもここでベストを出してしまおうというよりは、可能性を探っているようだ。
この後の『サンデイ』や『ワルツ』と比べて圧倒的に違うのはエヴァンスのピアノが紡ぎ出すリズムのギコチナサだ。まだまだ旋律を奏でることに終始してしまって最大の持ち味であり個性である彼のリズムが動き出していない。
これはこれでヨロシイという人もいるかもしれないが、こここそが分かれ目である。これでは物足りないと思ったからこそ3人はつづく傑作の森に分け入ることができたんだ。たしかにすべての音色は美しく響いているし、みなすばらしい才能を発揮してはいる。でも、ベストじゃあない。ベストはひとつでなくいくつあったってかまわない。だからこそのネクスト・ワンだ。そしてこれは3人のベストからはまだ遠く離れている。そういう意味ではM9の全力の暗中模索っぷりが逆にココチいい。
1.降っても晴れても
2.枯葉(テイク1)
3.枯葉(テイク2)
4.ウィッチクラフト
5.
ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ
6.ペリズ・スコープ
7.恋とは何でしょう
8.スプリング・イズ・ヒア
9.いつか王子様が
10.
ブルー・イン・グリーン(テイク3)