台湾へは3時間で行ける。
緯度的には沖縄とあまり変わらない。時差はほぼ1時間である。ということは成田を13時に出たとして現地時間で15時には台湾に着くことが出来る。
我々の旅は台風だか、機材検査の為に出発が3時間も遅れたが、友人曰わくこういう事は良く在るらしく、なんにせよエンジンが変に火を噴いたり、一度飛び立った飛行機が戻ってきたりとか、予期せぬ所に不時着したりせずに済むためには、まああり得べき事なのかも知れない。
こうして所要時間が大阪や新潟に行くのとさして変わらないところに異文化が待っているというのは実に身軽で、また気軽なことである。
ある人が言うには天気が良ければ沖縄から台湾が見えるという。またある本が言うにはかつて台湾は沖縄と同じ文化圏であったという。
ニッポンは千葉の成田空港から山々を越え、列島の途切れ目を越えて、海の上を飛ぶ。あそこに見える島が徳之島。もう直ぐ其処が台湾である。
飛行機はアスファルトの、或いはコンクリートの滑走路を滑り、重い機体を斜めに上げる。機体の揺れと共に雲を抜けるだろう。眼下に深緑の列島を、白い雲海の上を飛び越えた所に彼の島は在る。
機上から眺めれば、山が在り、林の間に家々が立ち並ぶ。もう少し高度を落とせば、道を行く車が見えて来る。日付を変える事無く、機上の人にとって昼が昼である内に、東京は台湾に変わっている。