風が立つ 生きねばならぬ 試みねば
(広大な)息吹は、私の詩書をひらきまた閉ざす
降りかかる波は岩々からもほとばしり
飛べ 呟くページよ
うち砕け 波よ 喜戯する水で うち砕け
帆船のゆきかう この静かな屋根を!
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ポール・ヴァレリー
「われらの海」
1917年10月末-11月
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いろんな訳がありますが、私はこの語調が好きであります。ヴァレリーと言う人はどんな肩書きで呼んだらいいのわからず、考えた末、「文学者」がいちばん適当であるな、と思いました。
いまどき蔓延している、なまぬるい「詩っぽいかんじ」から遠く離れたところで、詩にならざるを得ない、思考とその結実。