富樫雅彦+佐藤允彦 1973
とても繊細なせめぎあいだ。たいへんかしこい音楽家ふたりによる。ジャズというよりは音楽である。かしこく音楽的アイディアをたくさんもっている者同士が陣取り合戦をしているようである。しかしわかりあっているというのでもないのだろうが、互いの音をよく聴くということによって一歩退いてい聴くとじつにまとまりがある。つまり陣取りは二人のアタマん中で行われている。
ベースを敷くのは佐藤氏の広く鍵盤を使ったピアノ。使う語法はゲンダイオンガクのものといってだろう。冨樫氏がきっちりつきあうことによって、鳴らしだされる音は全体としてまるでひとつの完成された作品のように響く。だからこれはピアノとパーカッションというのではなく、1973年の七夕の日に新宿文化劇場という場所で起こった響きとして、それ以上にはなんの注釈もつけることなく耳を傾けるのが良いだろう。
1.輝き
2.再び活発に
3.往事を回想して