素晴らしい場所だろうと思ってもなかなか行けるものではないね。特に雪ってのは寒かったり、濡れたりすることに我慢しなくちゃならないから。デパートというのはそんなことを分かり切った人たちが硬貨やお札でもってモノに変わった楽しさを求める場所だから。雪の日。誰もいないかと思われた屋上にたった一人遊ぶ少女がいた。雪を小さな両手にすくい集めて小さな小さな雪だるまを作っている。その雪の子供たちが何人か出来上がると、少女は飽きずに辺りを跳ね回る。まるで一面の雪が重力を奪い去って、楽しくない気分ってやつを真っ白に塗り込めてしまったよう。だから大人は一人も居ないのかな。重みを感じて雪景色にもう消すことの出来ない絵や文字が書かれてしまっているのかな。幸せな少女は一人の少年を呼ぶだろう。ただ男の子はママに「寒くしちゃダメよ」って言われながら帽子を被らされているところ。もう少し待って今行くよ、一人ぢゃないよ、って目でね。