カルメン・マキ 1969
海鳴り、アメリカ人のお父さん・・・・。
カルメン・マキのこの後の活動を考えれば、この作品集を寺山修司の作品と呼ぶのもあながち間違いではないだろう。でも、こっからロック化するカルメン・マキがはじまっていたのだと考えれば、寺山だけではできなかったことが実現された共同作品なのだ、というべきなんだろう。
寺山は、事実をぶち込んでその人なりの表現によって、彼のオブセッションであるところのうらぶれた怨念といったようなものに拡大・拡声する演出家である。よって寺山が書いた筋書きや言葉に肉体性をあたえるのはカルメン・マキという本人しかいなかったワケであり、歌い手としてデビューしたばかりということを考え合わせれば、ここからカルメン・マキ自身が作り現実化したものが寺山のものであると同時に彼女だけのものでもあっただろう。その偏差こそが重要だ。
寺山だけでは描き出せなかったもの、にカルメン・マキがあたえたモノ。
ここに現れている生命感を排除したような舌ったらずな歌い方と、おじさんライクな雰囲気はきわめて中島美嘉に似ている。
1.時には母のない子のように
2.家なき子
3.
二人のことば
4.
戦争は知らない
5.
マキの子守唄
6.山羊にひかれて
7.
だいせんじかけだらなよさ
8.
さよならだけが人生ならば
9.ロバと小父さん
10.かもめ
11.時には母のない子のように