『蜘蛛巣城』(東宝・1957)
監督:黒澤明
主演:三船敏郎ほか
【評価】:★★★★☆☆☆☆☆☆
黒澤マクベス。三船の表情演技は印象に残るが、じっさいマクベスものとしても満足できないし、能の所作なんて入っていて結局よくわからない怪奇ものになっており、マクベスを読んだことのない人が見たら悪い冗談かと思うのでは。とはいえ黒澤はやっぱり偉大な才能と技量の持ち主だ。スケールデカイし、映画監督というのは、馬に踏みつけられる役にはきちんと踏みつけられてもらわなくてはならないのである。暴れ馬のシーンには目から鱗が落ちました。同様に能とシェークスピアがやりたかったから、やったのであろう。総じておそろしく冗長なシーンが多いのでマイナス1点。なお特筆するほど音が悪い。声はほとんど聞き取れないし(字幕がついています)、とくにミニマルミュージックのようにしつこく繰り返される馬の嘶きにはうなされるかと思いました。