「定常状態ーを越える」べく 「○」と何人かが音楽全般ほかよろず語り下ろし中!! / 「すべての表現するココロに捧ぐ」べくお送りしています つねに更新中!maru1978eonta@gmail.com!
by maru-eo 生きてく日々のメモ
文脈を参照して内容を割り引くことを「批判」と言います。
批判というと日本では攻撃と勘違いされがちですが、違います。 批判とは、隠されていた前提を明るみに出し、前提を取り替えると成り立たなくなることを証明して見せる営みのことを言うのです。 ●○●○●○●○●○● 宮台真司 07年12月22日 カテゴリ
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♪うたでノンキを数えたけれど 生きていりゃこそ この娑婆 この世界 みなさんさよなら 一足お先に ノンキ探しに出かけます ハハ ノンキだね ~石田一松の辞世のノンキ節~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 敗戦の日を何日か過ぎて、アテネで日本代表は世界とたたかい、政治家は隊列組んで靖国に参拝したりし、子どもたちは誰かの戦争の記憶を植え付けられている。 そんななか聴く『唱う小沢昭一的こころ』(ビクター・1993)は多くのこと考えさせてくれる作品だ。TBSラジオの長寿番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」の20周年記念盤。平成4年暮れから翌5年まで16回分が収録されている。 「シロクロ歌合戦」、「新春かくさず芸大会」、「正月気分は反戦気分」の3部構成の2枚組。それぞれに大正・昭和の歌謡曲、都々逸や俗曲、軍歌などを収めている。いづれも小沢氏ならでは語りとア・カペラでふりかえる貴重な日本人のうたの記録である。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 最大の聞き物である第3部の「正月気分は~」は戦時の日本人の心情を率直にあらわしている。「若鷲の歌」から「国民学校の歌」、「日本海軍」から「比島決戦の歌」まで、単純でバカバカしい一本気の戦意高揚歌の数々。「軍国子守唄」で小沢氏は歌いながら泣く。「戦争は人間を悲しみのどん底に落とす」、「戦争はすべてを狂気にする」といいながらも、氏は海洋少年団へ自分から申し込み、長じて海軍兵学校へ入る。 似たような戦意高揚歌ばかり歌わされていた時代、歌い続けているとそういう気分になってくる、のだという。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 父の口ずさんでいたうたや寄席で覚えた曲をいまでもソラで歌える小沢氏は同時に「戦時中の歌なら全部知っている」。そんな小沢氏をして、こうなのだ。いまも軍歌を懐かしそうに歌う人はたくさんいる。懐かしい、良い。不幸なのはその戦時に歌ったうたこそ強く印象に残っているということだ。 「特攻隊の兵士が死んでいく前夜に歌ったうたは軍歌なんかじゃなく」、たとえば灰田勝彦「森の小道」だった、という。悲しいことにいまこの曲は軍歌よりも聴く機会がないというのはどういうことなのか。 昭和20年「比島決戦の歌」を最後に灯火管制が終わりまちに明かりがついたとき「その時はじめて、あっ、いままでおれのこころの灯は消えていたんだと気がついた」という。この「いままで」には終わりがあるように始まりもあるはずだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ いま小沢氏は「正義の戦争よりも不正義でも平和」をとるという。(政治学者の丸山眞男氏も同じような意見を言っている)狂気の時はばかばかしく恥ずかしい歌(「比島決戦の~」)をもって終わる。「東京キッド」にあるように「左のポッケにアメリカを入れて」、「アメリカへのこだわりを捨て」、「ポケットにしまい込んで出さない」という。(小沢氏は戦後の池袋でアメリカ兵に前歯を3本折られた!) 多くを「ころっと忘れ」て、しっぽを振り振り生きていくことを選ぶ。いや厳密には「選んでいる」とさえ言っていいものなのか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 寄席の音曲(おんぎょく)や都々逸や俗曲を、イイカゲンに思い出すままに歌うという企画に紛れて入れられている戦争の時代の歌。「なんだ空襲」やいまではだれも覚えていない(野坂昭如と小沢氏を除いて)「防空壕の歌」などの生活のなかで歌われていた歌はもう聴くことが出来ないじつに貴重な記録だ。 歌謡曲やはやり歌はすぐに忘れられてしまう。小沢氏が放浪芸の記録化などをライフワークにしていることは知られているが、そうしたいわば純ポピュラー音楽史的な題材と戦争時のうたのあいだには、やはり大きな違いがあるだろうと思う。僕らがよく知っている「芸」を記録するただひとりのある意味奇矯な「小沢昭一」とは別に、戦時にどこにでもいた中学生だった小沢氏をいっしょにしてはならない。「芸」に関してははそれとして、しかし戦時のうたをうたい思い出すという行為は、だんじて小沢氏だけの専売特許になるべきではない。 このCDは日本のあのもっとも新しい戦争の時代について、多くのことを考えさせる。 たとえば日本側から見た太平洋戦争という特定のただひとつの戦争経験を、一般化してしまうのはどうなのか。正当なのか?戦争は残酷。たしかにそうだ。しかし「すべてを狂気にする」というのはどういうことなのか。本来「狂気に“した“」と一回性で語るべきではないか。また「すべて」とはどういう意味で、か。 ここまでくると学問のはなしになるけれど、あの戦争についていやな思い出と客観的分析は山とあるが、主観的な分析はおどろくほど少ない。あたりまえだけれど、これからもっと少なくなっていくだろう・・・・。CDから言いたいのはここまで。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ このCDで聴くことの出来る3パターンの「ノンキ節」から、とりあえず個人的には、そうした日本人のこころの動き諸々をひっくるめて「ノンキ」といってしまうのが良いような気がする。戦前・戦後、添田唖蝉坊から石田一松に受け継がれた「ノンキ節」。いまも当時も“左”的な文脈で受け取られるこの演歌に石田一松が最期につけて歌った歌詞は、左も右もひっくめた日本人の人生のうたとでもいうべきものが刻まれている気がする。まさにひとりの日本人の「辞世のうた」である。。 このCDはいろいろなことを考えさせる良い教材だと思う。戦時とはうって変わって学校では聴かせてもらえない(いかにも全体主義的に!)これらの曲を、ぜひ大人の皆さんに自主的に聴いてもらいたいと思う。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ しかし、♪みなさんさよなら/一足お先に ノンキ探しに出かけます/ ハハ ノンキだね って、なんてまさに日本人の心情を歌っていることか!
by maru-eo
| 2004-08-19 01:50
| ●○オンガク漂流○●
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